この連載では、2択形式で「あなたならどっち(を選ぶ)?」と問いかけます。その答えから導き出されるのは、健康を維持するために必要な情報です。選択を間違えたときは、思い込みをアップデートするチャンス! 何気なく続けてきた今までの習慣を見直して、健康習慣を始めましょう。
第9回感染症予防
感染症はウイルスや細菌などの病原体が体に入り込み、増殖して生じる病気のことです。正しい知識を身につけて感染症を予防しましょう。
Q効果的な呼吸器感染症対策は?
マスクを着用する
石けんと流水で手洗いする
上記で、あなたが正解だと思う答えを選択してください。
- 答え
A マスクを着用する
B 石けんと流水で手洗いする - 感染症の種類によって感染のしかたと対策が異なります。呼吸器感染症である新型コロナやインフルエンザの場合は、おもに3つの感染経路が考えられています。有効な対策をとって予防に努めましょう。
感染経路感染予防策
- 飛沫感染
- 感染経路
- 感染者の咳やくしゃみなどで飛散した、ウイルスを含む飛沫が口・鼻・目などの粘膜に付着して感染
- 感染予防策
- マスクの着用※飛沫の拡散・吸い込みを抑制する
- 接触感染
- 感染経路
- ウイルスが付着した手指で、粘膜(口・鼻・目)を触ることで感染
- 感染予防策
- 石けんと流水による手洗い、アルコール等による手指消毒
- エアロゾル感染
- 感染経路
- 空気中に漂うウイルスを含むエアロゾル(微細な粒子)を吸い込むことで感染
- 感染予防策
- 定期的な換気
(参考)国立感染症研究所「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染経路について」、内閣官房YouTube「マスク等の効用について」
- 周りの人にうつさない「咳エチケット」を守ろう
- 気付かぬうちに、自分が感染しているかもしれません。周りの人にうつさないように、口・鼻・を覆う工夫を「咳エチケット」といいます。
- 3つの咳エチケット
咳やくしゃみなどの症状があるときは、マスクを着ける。
マスクがない場合は、ティッシュやハンカチなどで口や鼻を覆う。
とっさの場合などは、上着の袖や内側などで口や鼻を覆う。
Q 正しい手洗い後、残存ウイルス数は?
数十個
数百個
上記で、あなたが正解だと思う答えを選択してください。
- 答え
A 数十個 - 手洗いは、感染症予防のきほんの「き」。丁寧な手洗いで十分にウイルスを除去できます。
- 手洗いのタイミング▶
- 帰宅時、調理の前後、食事の前、咳やくしゃみ・鼻をかんだあと、病人のケアをしたとき、外出先で物に触ったとき など
- 石けんによる手洗い効果
-
- 手洗い残存ウイルス数
- なし数百万個
- 石けんで10秒もみ洗い後
流水で15秒すすぐ1回数十個2回くり返す数個
- 手洗いなし残存ウイルス数:数百万個
- 石けんで10秒もみ洗い後
流水で15秒すすぐ1回残存ウイルス数:数十個 - 石けんで10秒もみ洗い後
流水で15秒すすぐ2回くり返す残存ウイルス数:数個
- 厚生労働省、経済産業省「新型コロナウイルス対策 身のまわりを清潔にしましょう。」より
正しい手洗い方法
Q感染不安をなくすには?
予防接種を受ける
自分は感染しないと信じる
上記で、あなたが正解だと思う答えを選択してください。
- 答え
A 予防接種を受ける - ワクチンのある感染症の場合、予防接種を受けることで自分はもちろん、周囲の人を感染や重症化から守ることもできます。例えば、新型コロナやインフルエンザの予防接種には、次の効果があります。
- 新型コロナの予防接種▶
- たとえ感染しても発病を予防する高い効果がある。また、感染そのものを予防したり、重症化を予防したりする効果も確認されている。
- インフルエンザの予防接種▶
- 発病リスクを下げる効果があり、重症化の予防に有効。
さまざまな感染症
日常での基本的な感染予防対策のほか、予防接種を受けたり、気になる症状があれば早めに受診したりして、感染を広げないようにしましょう。
- ●風しん
- 妊婦さんが感染すると、胎児にも感染して障害のある赤ちゃんが生まれる危険がある。風しんの予防接種を受けたことがない人(妊娠前の女性、妊婦さんの周囲の人)は、積極的に受けよう。
- ●ノロウイルス感染症
- ノロウイルスは、食中毒や急性胃腸炎(感染症)の原因ウイルスとして知られている。人から人への感染を防ぐには、石けんを用いた手洗いが最も有効。
- ●結核
- 長引く咳やたん、微熱、だるさなどの症状がある。毎年新たに1万人以上の患者が発生している。
健診結果の読み方生かし方
生活習慣病の特徴は、自覚症状がないまま静かに進行していくことです。症状としてあらわれるときには、取り返しがつかないところまで悪化していることもあります。健診結果から、将来のあなたの姿を予測することができます。健診結果を活かし、生活習慣病を予防しましょう!
特定健診以外の「検診」をチェックしましょう
骨粗しょう症検診
- おもな対象
- 40・45・50・55・60・65・70歳の女性
骨粗しょう症とは骨の密度が減り、骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。特に高齢の女性に多く、寝たきりになる大きな原因になっています。
歯周病症検診
- おもな対象
- 20・30・40・50・60・70歳の男女
歯周病菌が歯ぐきに広がって炎症を起こした状態を「歯周病」といい、口内だけでなく全身に悪影響を与えます。また「かむ」ことは、肥満予防や認知症予防など全身の健康に大きく関係しています。歯周病予防のために毎食後の歯みがきを忘れずに行い、定期的に歯科健診を受けましょう。
がん検診
- おもな対象
肺がん検診大腸がん検診40歳以上の男女
胃がん検診50歳以上※の男女 ※当分の間、胃部X線検査については40歳以上
※当分の間、胃部X線検査は年1回実施可乳がん検診40歳以上の女性
子宮頸がん検診20歳以上の女性※
※30~60歳を対象に5年に1回のHPV検査単独法への切り替えが可能になる場合があります。
がんは日本人の死因の第1位です。しかし、近年では早期発見、早期治療で治る可能性の高いがんも多くなっています。食生活や禁煙など生活習慣に気を配るとともに、検診を受けてがんから身を守りましょう。
参考資料『健診結果の読み方・生かし方』監修:奈良信雄 順天堂大学 客員教授 東京法規出版刊